大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和34年(あ)513号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人本人の上告趣意は憲法違反を主張するが、原判決は、被告人の本件法律事務の周旋が「報酬を得る目的で」なされたものであることを、被告人の自白を唯一の証拠として認定したのではなく、挙示にかかるその余の証拠と綜合して認定したものであることは、その判文上明白であるのみならず、記録に依れば、右挙示にかかるその余の証拠は被告人の自白を優に補強するに足るものと認められるから、所論中憲法三八条三項違反の主張はその前提を欠き採ることを得ず、その余の違憲の主張は結局すべて単なる法令違反及び事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお原審が弁護士法七二条にいわゆる「業とする」とは継続して行う意思のもとに同条列記の行為、本件においては周旋、をなすことをいうものであって、具体的になされた行為の多少は問うところではないと解し、被告人は本件法律事務の周旋をすることを「業とした」ものであると判断したのは正当である。)また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例